【FA】【仲介】M&Aアドバイザー(FA)とM&A仲介の違いとは?「仕事」「年収」「働き方」を比較解説!

M&Aアドバイザー(FA)とM&A仲介の違いとは?「仕事」「年収」「働き方」を比較解説!
M&Aアドバイザー(FA)とM&A仲介の違いとは?「仕事」「年収」「働き方」を比較解説!

M&A業界は、企業の成長や事業承継を支援する重要な役割を担っています。その中でも「M&Aアドバイザー(以下FA)」と「M&A仲介」は、似ているようで異なる業務を行う専門家です。

その違いを正確に理解することで、今後のキャリアを形成するうえで業界を選ぶ助けになります。

本記事では、FAと仲介の役割・年収・業務内容の違いを分かりやすく解説して、M&A業界への就職・転職を目指す方に役立つ情報をお届けします。

目次

M&Aアドバイザー(FA)とM&A仲介は似ているようで異なる業種

FAとM&A仲介は、いずれもM&A取引の支援を行いますが、その役割や対象企業、アプローチに明確な違いがあります。

まずは、それぞれの特徴を整理し、具体的な企業事例を交えながら解説します。

M&Aアドバイザー(FA)とは

M&Aアドバイザー(FA)の概要

FAとは、売り手または買い手企業に専属し、M&A戦略の策定や取引実行をサポートする専門家です。

FAは財務、法務、税務の知識を駆使し、クライアントの利益を最大化する役割を担います。

たとえば、企業が競合他社に売却を検討している場合、FAは市場動向を分析し、最適な取引相手を見極めるだけでなく、条件交渉を通じて売却価格を最大限に引き上げます。逆に、買い手側のFAは、買収コストを抑えつつもシナジー効果を最大限に引き出せる案件構築を行います。

M&Aアドバイザー(FA)の代表的な企業

FAは一口に言っても、「証券会社 投資銀行部門 M&Aアドバイザーチーム」「Big4 FAS M&Aアドバイザーチーム」「 M&Aアドバイザーチーム」があります。ここでは分かりやすく、代表的な企業として監査法人系の財務アドバイザーであるBig4 FASを紹介します。

いずれも数十億円規模から数千億円規模の大型案件を取り扱う企業であり、独立系FASと比較するとクロスボーダーM&Aに強みを持ちます。

企業名略称所在地
デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社DTFA東京都千代田区丸の内3-2-3 丸の内二重橋ビルディング
pwcアドバイザリー合同会社PWCA東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング
EYストラテジー・アンド・コンサルティングEYSC 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号東京ミッドタウン日比谷 日比谷三井タワー
KPMG FASKPMG東京都千代田区大手町1丁目9番5号大手町フィナンシャルシティ ノースタワー

M&A仲介とは

M&A仲介の概要

M&A仲介は、売り手企業と買い手企業の双方に中立的な立場で関与し、取引成立をサポートします。

主に中小企業のM&Aに特化しており、後継者不在問題の解決や事業承継支援を目的とするケースが多いです。仲介者の役割は、売り手と買い手をマッチングして条件を調整し、合意形成をスムーズに進めることにあります。

また、仲介者は案件ごとに迅速な対応が求められるため、効率性と柔軟性が重要です。地域に密着した活動を行う仲介者も多く、地元企業の経営者とのネットワークを活用することが成功の鍵となる場合もあります。

M&A仲介の代表的な企業

仲介の代表的な企業には、日本M&AセンターM&AキャピタルパートナーズM&A総合研究所ストライクなどがあります。

また、上記以外にも大小さまざまなM&A仲介会社が存在します。

待遇(年収)の比較

FAとM&A仲介の年収には明確な差があり、その背景には取り扱う案件の規模や求められるスキルが関係しています。

M&Aアドバイザー(FA)の待遇・年収

FAの年収は平均800万円から1,500万円と高水準です。

FAが扱うのは数十億円から数百億円規模の大型案件が中心であり、成功報酬もその分高額になります。仮に100億円の取引を行う場合、報酬は取引額の1%程度、約1億円に達することもあります。

高度な専門知識と交渉力が求められる一方、その対価としての報酬は非常に魅力的です。

一方で、M&A仲介会社と比較するとFAの報酬はインセンティブ(賞与)の比率は大きくなく、サラリーマン的な待遇と言えます。

M&A仲介の待遇・年収

M&A仲介の年収は500万円から1200万円程度ですが、トッププレイヤーは3,000万円以上の年収を得ることもあります。

ここがM&A仲介会社がFAと大きく異なる点で、M&A仲介会社は成功報酬型のビジネスモデルを採用しており、1件の成約で得られる報酬がそのまま年収に反映されます。

ただし、成約がなければ報酬も発生しないため、営業力が収入を大きく左右します。結果を出すためには自己管理能力と持続的な努力が欠かせず、厳しい営業環境であることは間違いありません。

業務内容の比較

FAとM&A仲介は、業務の進め方や提供するサービス内容にも違いがあります。

M&Aアドバイザー(FA)の業務内容

FAの業務は一貫してクライアント専属であり、高度なサポートを提供します。

  • 戦略の策定: クライアントの目標や条件を踏まえ、最適なM&A戦略を構築
  • 企業価値評価: 財務・事業データを基に正確な企業価値を算定
  • 交渉サポート: 価格や条件の交渉を主導し、最良の結果を引き出す
  • デューデリジェンス: 財務・法務のリスクを洗い出し、安心して取引できる体制を整える
  • PMI支援: 成約後の統合作業をサポートし、シナジーを実現

FAはその幅広い専門性を生かし、クライアントに最適なソリューションを提供することが重要です。

M&A仲介の業務内容

仲介の業務は中小企業を中心としたマッチングが主軸です。

  • 売り手と買い手のマッチング: 条件に合う相手企業を見つけ出し、紹介
  • 交渉の仲介: 両者の意見を調整し、合意形成を支援
  • 書類作成サポート: 基本合意書や契約書作成をサポートし、取引成立を後押し
  • 成約後のサポート: 成約後もスムーズな事業移行が行えるように支援

仲介者は特に営業力と調整力が求められる職種であり、成功するには柔軟性とスピード感が必要です。

キャリアパスの比較

M&A業界での経験は、多様なキャリア選択を可能にします。FAとM&A仲介では、職務内容や専門性に応じたキャリアパスが特徴的です。

M&Aアドバイザー(FA)の退職後のキャリア

FAとしての経験は、多彩なキャリアの扉を開きます。事業会社の経営企画部門では、企業買収後の統合(PMI)や成長戦略の立案を担うケースが一般的です。

また、プライベート・エクイティ(PE)ファンドや戦略コンサルティングファームでは、投資や事業支援に携わることができます。独立して自らのネットワークと専門知識を武器に、新たな挑戦を始める人も少なくありません。

M&A仲介の退職後のキャリア

一方で、M&A仲介の経験者は、その営業力と人脈を活かし、事業会社のM&A部門や金融機関で活躍するケースが多いです。

具体的には地方銀行や地域密着型企業に入り、事業承継や買収プロセスをサポートする役割が求められます。また、独立してフリーランスとして活動し、柔軟に働く道も広がっています。

【コラム】X(旧Twitter)では犬猿の仲?

FAとM&A仲介は、X(旧Twitter)上で対立する場面が見られます。

FAは仲介を「単なるマッチング業務」と見下す傾向があり、仲介側はFAを「高コストで過剰なサポート」と批判することがあり、度々X(旧Twitter)上で炎上をしております。

しかし、近年では仲介会社がFA業務にも進出、あるいは仲介会社がFAを買収し始めたことで、双方の役割の境界が曖昧になりつつあるのが現状です。日本M&Aセンターでは高度なアドバイザリーサービスも展開されており、FAに近い業務を提供しています。

このように、役割が交差する中で、双方の専門性がどのように活用されるかが注目されています。

まとめ

FAとM&A仲介は、クライアントへの関わり方や提供するサービス内容、求められる専門性が異なります。

どちらの専門家が適しているかは、自社のニーズや案件の規模によって異なります。また、業界への就職・転職を検討している方にとっても、自身のスキルや志向に合った道を選ぶことが重要です。

本記事が皆さまの理解を深める参考となれば幸いです。

今後も更新をしてまいりますので、面白かったらX(Twitter)で記事をRT、もしくは管理者アカウントのフォローをよろしくお願いします。

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この記事を書いた人

IBD→FAS(M&A)→事業会社(社長室/事業責任者)。USCPA全科目合格。現在は複数事業(BtoB SaaS)責任者、新規事業担当、経営管理・M&A・IRが主要業務

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